植物との関係 その7
翌年になって博士が、奇妙な酵母とはクロホ病菌の別の姿であることを突き止めた。
あるときは酵母に変身するクロホ病菌がサクラソウの体のなかでどのような生活をしているのか、まだよくわかりません。
菌の培養が難しく、研究がしにくい対象だからです。
しかし、サクラソウの感染株のなかには、菌が菌糸の形、あるいは別の形で潜んでいることだけは確かなようです。
毎年同じクローンを観察していると、前の年に感染株がみられたクローンでは確実に感染株がみられ、場所によってはクローン成長に伴って増えていることが確かめられるからです。
花の時期に花のなかの蜜のあたりにたくさんみられる酵母は、ポリネータが花を訪れたとき、その体について花から花へと運ばれるのでしょうか。
もし、そうであれば、授粉によって繁殖を助けるはずのポリネータである昆虫が、病気を広めるベクターとしても働くことになります。
少し複雑な生物間の三角関係の研究材料としても、サクラソウは役立ちそうなのです。